ハウジング研究の方向

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地理学における人文主義的なハウジング研究は,居住者が抱く地域イメージの解釈,とくに人々の居住地選択行動の分析や都市内に滞留する人々の地域への愛着に基づく定着性の分析など,環境あるいは居住地域と居住者との情緒的結びつきに関して今後研究される余地が十分残された分野であるともいえる。
すなわち,これまでの分析において十分にとらえることのできなかった居住地や住居に対して居住者がもっている意味や価値について,人文主義的なアプローチに課せられた期待は大きい。しかしながら一方で,この残された分野は人文主義的アプローチの欠点としてしばしば指摘される,居住者の主観をいかにとらえるのかが困難で,常に方法論的な問題が残されたままである。
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ハウジング研究の方向
これまで述べてきたように,ハウジング研究は都市地域研究の動向と対応して景観的・形態的アプローチから社会生態学的アプローチや立地論を背景とした経済学的アプローチなどを経て,制度論的アプローチやマルクス主義的アプローチおよびヒューマニスティックなアプローチへと展開している。
このような研究の展開は,林(1991)による都市地域研究の接近方法の展開の説明と対応する部分もある。林は,これまでの研究方法が,時計回りの方向の順で進められてきたとし,研究の回転が歴史的には一種の螺旋階段で,「過去の研究スタイルが,新たな装いをともないながら,近い将来に再び現れるという可能性が否定できない」と考えた。
確かに景観保全運動の高まりによる過去の景観論や生態学的視点の再評価は,上記の螺旋的研究の展開であるともいえる。しかしながら,これらのアプローチは必ずしも連続的な展開を示すものではなく,より新しいアプローチが,過去のいずれかのアプローチによる研究成果をベースとして新たな展開をしたと考える方が妥当ではないだろうか。すなわち,生態学的アプローチに対するアプローチへの再評価があったとしても,それは必ずしも新たな装いの生態学的アプローチによる研究というわけではなく,過去のアプローチによる有益な研究成果を再評価した新たなる展開となったアプローチとして位置づけた方が適切であると考える。